コロナ感染はソウル駅広場のホームレス
韓国じゃ住所不定のソウル駅ホームレスは自家隔離の対象外なんだぜ
患者を移送する場所がないので、雨宿りできる所に立っていてほしい
[ソウルミーナ]ソウル駅ホームレスの間では先月30日からコロナ確定者が急増した。 市民団体のホームレス行動によると、先週、ソウルのある生活センターでは65人ほどのホームレスがコロナに確認された。 また、他の一時保護施設でも30人を超える確定患者が大量に出た。
先月30日、新コロ確定判定を受けた20年目ホームレスの60代コ某氏は、行き先がなく、ソウル駅広場の角に突っ立っていなければならなかった。 状況を見守っていた警察官が関連機関に引き渡そうとしたが、どの機関もコ氏を引き受けようとしなかったという。 管轄保健所も「患者を移送する場所がないので、雨宿りできる所に立っていてほしい」とだけ述べた。
保健福祉部の指針上、感染に脆弱な住居空間に住んでいるホームレスは、自家隔離の対象ではないが、ベッド配分前に待機できるスペースがなかったのが現状だった。
ソウル市では感染者の急増によりこの11月からコロナ対象者は自家隔離と在宅治療が原則となった。これにより「新コロ」と診断されたホームレスなど、住居脆弱階層が劣悪な居場所に放置され、感染拡散を育てているという主張が提起された。 貧困社会連帯、ホームレス行動などで構成された「2021ホームレス追悼祭共同企画団」は1日、ソウル市庁前で記者会見を開き、ソウル市に住居脆弱階層の確定者施設の移送方法と治療対策などを迅速に講じるよう促した。
企画団がまとめた資料によると、今年10月末からソウル龍山区、永登浦区、中区などのホームレス施設、ドヤ街、考試院などで発生したホームレスの新コロ感染確認者数は150人をはるかに超えた。 ソウル駅ホームレス施設集団感染で100人余りが確認された今年1月よりもっと深刻な状況だ。
現場の活動家らは「感染したホームレスは入院、生活治療センターへの入所どころか、通常1週間になる自家隔離が不可能なドヤ、考試院やトイレなど便宜施設がないコンテナに隔離されるなど、事実上放置されている」と声を高めた。 一部のドヤの賃貸業者は、「熱や咳など、風邪と似た症状が見られるだけでも、居住者らを立ち退かせる事態まで起きている」と伝えた。
ソウル市は、1日に504人に寝床を提供するホームレス一時保護施設7ヵ所を運営している。 7カ所のうち6カ所は、5.4平方メートル(1.6坪)より狭い空間を一人当たり就寝スペースとして提供している。 ここは空間分離が完全にできない仕切りになっており、トイレとシャワー室は共同で使用する。 90人が一つの建物で生活するか、60人が一階で生活するところもある。
現在、ソウル市議会が審議中の22年度ソウル市ホームレス支援関連予算は、コロナ19以前と同じ水準で、一部防疫関連予算はむしろ減少した。 ホームレスへの給食支援予算など、大半の予算はそのまま維持された。 ホームレス臨時住居支援予算は、基準賃貸料の上限額が月32万7000ウォンから32万7000ウォンが調整され、5億1000万ウォンが増額されたが、対象人数や保障期間などに変動はなかった。
コロナ予算はアクリル板設置に消える
今年約5億5000万ウォンが策定されたホームレス福祉施設機能補強予算が4億1000万ウォン余りで25%減額され、今年「ホームレス患者看病事業」に策定された3億7000万ウォンも全額削減された。 その代わり、ソウル駅希望支援センターのトイレ間仕切りの設置に2200万ウォン、ブリッジ総合支援センターの生活室間仕切りの設置に5400万ウォンが策定された。
ソウル市は今年、ホームレス支援住宅258戸を供給するという約束を守らなかった。 今年のソウル市の推進実績を見ると、11月基準の支援住宅196戸の運営に止まっている。 ソウル市は、年末までに約200戸を供給する予定としており、来年に再び258戸を供給する予算を策定したが、計画していた318戸にははるかに及ばない。
ソウル市の関係者は「確認者、密接接触者の移送は一般人と同じように進行中であり、街中ホームレスを訪ねながら緊急災難支援金申請、ワクチンブースターショット接種などを督励している」とし「ホームレス人権保護のために私たちも予算をもっと多く割り当てるよう要請しているが、社会的共感が足りず困っている状況」と説明した。
ソウル生活の現状
ソウル駅地下道とは別に、南大門の地下商店街地下道もホームレスに人気だ。日帝統治期に整備された地下道は天井が低く空調も無いが、白熱電球の照明で暖かさが得られるという。但し利用できるのは専門店街がすべて閉店する夜10時以降となっている。
ホームレスの財産はいつでも狙われている
新コロ事態は歴戦のホームレス生活者にとって悪いことばかりではない。ひとりが新コロに確定し入院隔離されるとそれまで集めていた家財道具一切がすべて再分配されるのだ。寝袋や段ボールなどが先住者たちによって分配されるのである。
そればかりではない、無償給食などの空白時間でさえも窃盗は日常茶飯事だという。盗った盗られたに警察は関与しない。これがソウルのホームレス生活者のルールだ。
こんなご時世に新たに地下道生活に参入する新人ホームレスも多い。彼らの最初の晩のための段ボール集めはそれこそ血眼になるだろう。しかし無償給食に並ぶ間に集めたばかりの段ボールは無残にも回収されてしまうことさえあるのだ。地下道の明るいところに軽装でいるホームレスは皆ホームレスになりたてなのだ。
警察も凍死者が出ないように気を配っているが、ホームレスが多すぎて把握しきれていないというのが現実だ。ホームレスから死者が出ると警察の出番だ。身元を確認するために持ち物を調べるのだが、すでに身分証明するものさえも売ってしまうため身元確認はとても困難だ。それほど身元不明者が多いのが韓国の特徴だ。
火葬された遺体は身元不明者として無縁納骨堂に6年間保管される。遺族の手に渡ることは稀だ。
ソウル駅地下道のホームレスは200人程度だとされているが、これまでにソウル駅地下広場のホームレスからは160人の新コロ感染者が出ているという。実際の事実と公表値の乖離が日常的な韓国の一面がこのようなときにも表れているわけだ。
(ソウル/みそっち)
というわけで、ソウルの新人ホームレスの一日もコロナ事態で無償給食所が閉鎖されたりしているので気楽なホームレス生活とは言えないようですね。
こちらはお馴染みの「車内練炭」のようす